宝尽くし蒔絵 の 物 語

宝尽くし
そう言われ心に描くものは何だろうか
国、時代、ひいては個人同士ですら、それぞれの宝たちは違うはずだ
蒔絵の宝尽くし
それは日本の歴史であり、文化である

 

正倉院の名を知らない人は、あまりいないのではないだろうか
建物が思い浮かばなくても、名前であれば何処かで聞いたことがあるはずだ
遠い過去から続いてきた長い歴史と、宝を、この現代まで大切に守ってきた場所

宝尽くしの蒔絵は、それと同じなのだ

奈良時代に
江戸時代に
昭和の時代に
それぞれの時代、それぞれの文化に多くの宝が生まれてきた
生まれて、愛されてきたそれらを私達はどれほど知っているだろう

 

 

例えば、宝袋という宝物があった
植物を宝物として見立てたものもあった
一つ一つは時代に埋もれる小さな宝物
それを集めて、集めて
時間をかけて生まれたのが ”蒔絵の宝尽くし” だ
遠い時代の宝物たちを、その時代の歴史とともに美しく描く紋様
今なお色褪せない宝物たち

 

祝い事、新年を迎える時
その喜びの中に花を添えるのが宝尽くしだ
貴方の宝物のような時間を、描かれた宝物たちが一緒にお祝いするのだ
これはそういう紋様である

貴方の宝物は何なのだろう
貴方のそばにいる人の宝物はなんだろうか
日本の時代と文化を集めた宝尽くしを前に
お互いの宝物を見せ合うのもいいかもしれない