雪華蒔絵の物語

雪華は、何故雪の華と書くのか
雪の結晶は華やかだ
上から降ってくる、舞ってくる、それはまるで華が降っているようだ

江戸時代にはもう、六角形の雪華は記録されていた
まだレンズのない時代から観察され、紋様化されてきた事実には驚かされる
それだけ、この凍りつくようなものがもたらしてくれる豊かさは、多くの人を魅了する
それを描かないわけにはいかなかった
描いたら売れる、じゃない
こんなにも素敵で、面白い世界だからだ

蒔絵は日本固有のものだが雪はそうではない
ここよりも更に氷に閉ざされた国々の人達も、雪に華を見るだろうか
生活に不便があったとて、それはすごく豊かな事ではないだろうか
大きな雪の華に彼らは何を思うのだろう

自然を映す絵は、たんに目の前にある今を見せるだけじゃない
世界を広げられる
違う世界を想像できるのだ
雪を知る人にも、雪のない地方の人々にも
雪華を通じて雪のもつ豊かさが伝わる
誰をも魅了してやまない自然の美しさの一辺が雪華紋様には閉じ込められている