菜紋蒔絵の物語

菜紋には強い思い入れがある
輪島というのは田舎だ
日々、仕事をしている場所
そのすぐ隣でと言うくらい近くに野菜が育っている
一番身近にある、何処にでもある野菜
それを絵にしたい
そういう気持ちが一番強い

蒔絵というのはとても高価な金銀を使い、時間をかけて、高くつく
そんな高価な世界で田舎の道端で売っているようなものを
描いていいのかというのが今の常識
それをあえて描きたい

過去、江戸や明治には野菜の蒔絵を描いていた人達が沢山いた
それを今はなくしてしまった
蒔絵というものが、立派になりすぎてしまった
立派になってはいけない、蒔絵は身近なものなのだから

野菜を描くのは、野菜のみが身近だからではなくて
蒔絵を身近にしたい
自分はそう感じているから